「レトロ」へと回帰するZ世代

Z世代_レトロ Culture & Trend

この記事でわかること

 ● Z世代が “レトロ” と関わりを持ったトレンドの事例7つ

 ● レトロへと向かうトレンド、そこにある共通点とは?

● キーワード
 ◯ Z世代
 ◯ 「先祖返り」世代
 ◯ ノスタルジック
 ◯  チル(Chill)
 ◯  ベッドルームポップ

“昔” に回帰するZ世代

ここ数年の間だけだったが、一斉を風靡したタピオカ。

なんでも今は、クリームソーダが次なる注目の的となっているようだ。Instagramでハッシュタグ検索をして確認してみると、244万件のボリュームを持つ「#タピオカ 」には未だ届かないが、「#クリームソーダ 」はすでに39万以上ものボリューム(*1)を誇っている。

394,000件 (1)

阪急三番街での以下のような広告もこのクリームソーダ・トレンドに助力していることがうかがえる。

ここで論じたいのは、『なぜタピオカからクリームソーダにトレンドが移ったのか』ということではない。「クリームソーダとタピオカ」のTweetにあるように、トレンドが生まれるのに『意味なんて無いよ。楽しくて可愛くて美味しいからヤバイ』のだから。

しかし、最先端が日夜更新される2021年に来て、なぜあえてレトロなのだろうか?
そんな一種の流行を生むZ世代のレトロ・トレンドに今回は注目したい。

レトロ回帰を示すZ世代間での7つの事例

「草食系男子」などの新語を生み出してきた立教大学大学院 客員教授の牛窪恵氏は、レトロ趣味なZ世代を「先祖返り世代」と表現する。

以下にその具体的なレトロ・トレンドの事例7つを、ファッション / 趣味 / 音楽の3カテゴリーで列挙した。

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① “1980, 70年代のコテージコアが再興
② “70年代風「ファラ・カット」がZ世代に大ヒット

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③ “米で「LPレコード」売上がCDを上回る
④ “アナログカメラ」の流行
⑤ “純喫茶に香る「昭和レトロ」

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⑥ “Z世代が中心的のベッドルームポップ
⑦ “昭和グルーヴ」が現代の新たなアンセムに

①〜⑦それぞれの事象を手取り、一つ一つ起源を分析してみることも可能だが、次の第3項では、レトロ回帰しZ世代を中心にレトロ・トレンドが生まれていった7つの事例の共通項を探っていく。

Z世代が中心となった7つの「レトロ回帰」の共通項

前置きとしてだが、こうした社会事例を「要因AとBがあるが故に、結果Cだ」というように数式的に因数分解することは不可能だ。しかし、環境的心理的社会的歴史的観点など各視座から観察することである程度の粒度で共通点が発見され得ることについては、賛同して頂けるはずと考えている。

以上のような前提の元レトロ回帰が生じている所以を探ると、以下のようなキーワードを掘り出すことができた。次で詳しく見ていこう。

A. 非日常感
B. 効率に偏重しない
C. チルい体験
D. エシカルな体験

A. 非日常感

デジタル、特にモバイル端末での操作や扱いに長けテック・ネイティブとも呼ばれるZ世代のこうした特徴は、このコロナ禍でさらに助長されている。
オンライン環境がリアルを覆い、溶け込んだ状態をOMO(Online Marges with Offline)と言うが、まさしくそのOMO環境に生きる世代といえる。

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例えば、『買ったレコードで音楽を聴く』『新しく髪型を変える』『クールな曲を探し当てる』…
このようなリアルでのファースト・アクションが、『Instagramでシェアする』『TikTokで披露する』『Twitterで感想をつぶやく』というように当然のように溶け込んだオンライン上でのネクスト・アクションに直結しているのである。

このことから、「リアル → オンライン」にシームレスに繋がり得るファースト・アクションには、話題性コミュニティとの接続トレンドのキャッチアップを孕んだ「A. 非日常感」を備える必要があるといえよう。

B. 効率に偏重しない

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ただし、ここでの “非日常感” とはミレニアルにみる赤レンガ倉庫やパームビーチの羽アートのようなインスタ映えを指すのではない。(上図参考)
なぜなら、体験を重視するZ世代にとって風景を映しSNSにアップするだけのインスタ消費的な体験傾向はむしろ減退しているからである。
また、「体験それ自体を重視する」という点から「B. 効率に偏重しない」ことも挙げられよう。

C. チルい体験

一言に “体験” といっても、『ミュージッククラブで激しく盛り上がる体験』『DIYで部屋づくりの新たな可能性を発見する体験』『オンランでしかコミュニケーションを取ったことのない相手とリアルで会う体験』などさまざまな感情の体験があげられることだろう。
ここで、Z世代特有の描写法に “チルい” 、「英単語;Chill」に由来し「ゆったりと落ち着いた感じ」を示す言葉がある。

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上図にあるように、Z世代は生まれて間もなくさまざまな未曾有の体験を幼いながらに経験してきて、その子育て期にあったミレニアルの様子を目にしていた。
そのような出来事を起点に目まぐるしく変化する世界を必ずしも一義的に捉えず、精神を平静に保っていられるよう習慣づいたのかもしれない。
この「チルい」は “何もないしない” を指す「オランダ語;Niksen(ニクセン」に通ずるものがあるが、結果として『シーシャを吸ったり』『落ち着いた音楽に耳を傾けたり』という、「C. チルい体験」へとトレンド繋がっていく。

D. エシカルな体験

また、Z世代の特徴を語るに欠かせないSDGsに関わる体験も重要だ。

Z世代は無意識ながらも世界全体で推し進めようとしているSDGs、それが示唆する持続可能なライフスタイルに啓発され、持続可能という道徳性(=エシカル)を重視した「D. エシカルな体験」を好む傾向にあるといえるだろう。
これは個人的な所感だが、この点はアメリカのZ世代に比べ日本ではまだそう強い傾向性は見られないと感じている。しかし、Z世代社会起業家や企業の動きにより知らず知らずにそうしたライフスタイルに心を寄せている節を垣間見ることはできる。

結論|まとめ

以上のことから、A~D 4つのレトロ回帰の共通点が見出せた。
第2項で挙げた7つの事例と照らし合わせてみると、「A. 非日常感」は「①レコード」「②アナログカメラ」「③純喫茶」にみることができる。

現代ビジネスに掲載されたアーティスト Night Tempo 氏の『この時代に生きていないのに、ノスタルジアを感じる』という言葉からわかるように、Z世代は実体験していないものの、過去確かにあった、それ自体にノスタルジアが含有された”昭和レトロ“というものに、Z世代のフレッシュな価値観が触れ生まれたトレンドのように思うのだろう。

また「①レコード」「②アナログカメラ」からは、音楽ストリーミングサービスやスマホカメラなど手間のかからない手法を持っているにもかかわらず生じたトレンドだということから、「B. 効率に偏重しない」様子が見えるだろう。

「⑥ベッドルームポップ」「⑦昭和グルーヴ」はまさに “チルい” を体現したかのような音楽であり、その他既述のシーシャや夜ピクなどにみる「C. チルい体験」と相容れる。
1970,80年代の古着ファッション「①コテージコア」は持続可能を求めるReコマースに含有され「D. エシカルな体験」といえる。アメリカでのトレンドではあるが、”昭和レトロ” 同様にレトロ回帰を起こしている点から、Z世代は国境横断的に、地球規模としてのいち世代だと捉えることも可能ではないだろうか。

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