『心でつながる時代』に変化するソーシャルメディア

Culture & Trend

ソーシャルメディアの変革期

SOUL 、 Yay! 、 パラレル 、Gravity …

これらは、主要SNS(TwitterやFacebook、Instagram)の様式を踏襲するもそれらが持つ決定的な要素が異なる心情型ソーシャルメディアの一例です。
これら心情型を実際に利用してみて、『ソーシャルメディアという領域はZ世代を中心に変革期に突入するのではないか』ということをふと思ったのです。

そうと感じたのは、こちらで新鋭ソーシャルメディア「ZEPETO(ゼペット)」について執筆したのがきっかけ。
その記事では、結論として『今後のZ世代のソーシャルメディアは、元来の興味関心・フォロワーという基盤以上に深く「心的な繋がり」が基盤になる』という考えを述べたのでした。

デジタル と リアル での心の動き方

ソーシャルメディアで生まれる心的なつながりは、日頃目にする投稿からレコメンドされる類似アカウントとに生まれるわけではなく、自分の投稿にリアクションした他ユーザーとに生まれるわけでもありません。
私たちの心は「(TikTokにみるように)思わぬ出会いに突き動かされること」は往々にしてありますが、たいていの場合、それは徐々に徐々に開閉していくもの。

画像4

… 想像してみると分かるように、リアルで人と出会い、その人を好きになる / 合わないと判断することは大抵の場合時間を要すでしょう。この、「リアル / デジタルでの他者との出会い方・心の動き方の違い」 は、次で示す「ソーシャルメディアの3要素」を見ていくことで一層鮮明になります。

『何をそんな今さら』と思うかもしれませんが、機能が複雑化する現代のソーシャルメディアを紐解くに当たってのふりかえりとして、サラッと見ていただければと思います

ソーシャルメディアの3要素

ソーシャルメディアを機能的に分解してみると、大きく「アカウント」「フィード」「コミュニケーション」と3種に分けることができます。

アカウント|「デジタル上の個を識別するもの」

運用目線に見るとユーザーと呼ばれこともあり、アカウント同士の相互関係からは フォロワー / フォロイー とも認識されます。

ユーザーID 活動(=過去の投稿) 表示名

アカウントトップ(=個人プロフィール)の情報量で個人特定性が決まり、「ユーザーID」「活動(=投稿)」「表示名」「プロフィール・ヘッダー写真」「自己紹介文」などの因子によって個人特定の解像度が変化します。

フィード|「投稿が露出される場所」

ここではフィードを、TwitterのタイムラインやInstagramのフィードと認識せず「投稿が集約される場所」とし、アカウントから投稿されたコンテンツが日々更新され人々へ露出される場所と定義します。

ユーザーID 活動(=過去の投稿) 表示名 (1)

今やTwitterにはタイムライン・フリートの2チャネルが存在、Instagramでもフィード・ストーリーズ・リールと3チャネルに分けられ、コンテンツの形態に合わせた”フィード最適化”が図られているのが主要SNSでは一般的です。

コミュニケーション|「他者との接触手段」

投稿されたコンテンツには、「コメント」「いいね」「保存」「リンクシェア」などのアクションを通じアカウント同士・はたまた他プラットフォーム上の友人と交流を図ることができます。

ユーザーID 活動(=過去の投稿) 表示名

“心的な繋がり” を強化する新鋭SNSの3要素

ここまでに見たソーシャルメディアを構成する「アカウント」「フィード」「コミュニケーション」の3要素。

若年ユーザーに人気高い主要SNS(Twitter・Instagram・Facebookなど)と冒頭で述べた心情型ソーシャルメディアの2者間では、この3要素はどう違うのかを考察していきたいと思います。
その相違点から、ユーザー同士の繋がりが「なぜ興味関心やフォロワーよりも高次な “心的繋がり“に移行していくのか」を探っていきます。

まず引き合いに出したいのは、「癒されるやさしいSNS」GRAVITY(グラビティ) 。

画像1

プラットフォームとしての細かな仕様はSUNGROVEの解説記事にお任せするとして、早速アカウント・フィード・コミュニケーションの3つの観点から見てみると…

  • アカウント
    • 完全に匿名であり、個人を特定するためではなくこのソーシャルメディア グラビティに参加するための入場パスとして機能しています。
    • 他者のアカウントトップは、過去投稿に加え「興味関心などのタグ」と「アカウント開設時のアンケートから判定された属性」が表示されます。
  • フィード
    • 「フォロワーの投稿」と「自身が設置しているタグやアカウントの属性からレコメンドされる投稿」の2種あり、フォロワーの投稿フィードでない限り見慣れたユーザーの投稿が流れることはありません。
    • 他方のフィードは当然見慣れないユーザーの投稿で溢れているわけですが、あらかじめ設定しているタグや属性から心的に近しい = 相性の良いアカウントの投稿が表示されます。
  • コミュニケーション
    • タッチポイントは投稿へのコメント、いいねと一般的なソーシャルメディアと大差はありませんが、アカウントとフィードで見たようにそもそも対峙するのは自身と心的に近しい相手となります。
ユーザーID 活動(=過去の投稿) 表示名
グラビティの外観

ほかの新鋭SNSに見る3要素の共通点

グラビティに見たアカウントの高い匿名性は、Z世代への人気高さで有名な Yay! ・ Soul も同様。

Yay! ではその特異点であるサークル機能で、匿名性ながらもユーザー同士の深い繋がりを醸成しています。

画像2
図中 右では、フィード上部にグループ通話の欄が設置されている

加えInstagram ストーリーズのように “グループ通話” が配置され、興味関心やフォロワー、オートレコメンドによる繋がりに頼らず構造的に誰一人をも取り残さないプラットフォームとなっています。

ビッグデータとAI技術を駆使した Soul は、その卓越した感情分析で興味関心以上に精巧なユーザーマッチを提供。グラビティと同様にアカウント開設時にアンケートを実施し、より自身とシンパシーの一致するユーザーとの繋がりを可能にしています。

ユーザーID 活動(=過去の投稿) 表示名

これにより、匿名性の高いアカウントであるも心的に近しいユーザーとの繋がりが生まれます。
さらに Soul は “3Dプラネット” を設置、ここから無数に表示されるオンライン中のユーザーにアプローチすることも!

「心情ベースのコミュニティ」に変化するSNS

匿名性という点で共通していた GRAVITY・Yay!・Soul 。
互いに誰か分からなくとも、『心的に近しい者同士だ』という前提がいずれのプラットフォームにも存在しているため、2ちゃんねるのような誹謗中傷の温床を回避、グラビティが掲げる「癒される優しい世界」を生み出すことに成功しています。

そもそも、リアルなコミュニティは感情、(俗っぽい言葉で言えば)フィーリングで成り立っていることが多い。もちろん、マクロ視点で見れば「生まれ育った地域」や「働いている職場」、「日々通っている学校」などという環境的要因がコミュニティを決定づけていることに異論はありません。
しかし、ミクロで見れば “コミュニティ構成員“ は必ずしも “その環境に居る全員” とイコールではないでしょう。職場の中でも、馬の合う同僚やノリが違う上司、飲み会だけは付き合う先輩などと心の寄せ具合が異なるように、いくら環境要因が強くとも実際的に構成されているコミュニティは「フィーリングの合う者同士」、つまり心的に近しい存在で形成されています。

Soul で顕著に見られる高度な感情分析技術やレコメンド機能があらゆるソーシャルメディアに実装されれば、今後のソーシャルメディアでの繋がり方は “プラットフォームが意図的に生み出す偶然の出会い” へと変化。それはユーザー目線では、元来のインタレストグラフやソーシャルグラフを脱したリアルの繋がり方に近いフィーリンググラフの「心と心で繋がれる場所」と認識されるようになるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました