食とファッションに見る、Z世代のエシカル思考

Culture & Trend

この記事でわかること

● Z世代とエシカルの関わり方

● SDGsとエシカルがどう繋がっているのか

●「食」や「ファッション」とエシカルに関わる事例

● Z世代の深いインサイトのひとつ「スタンス思考」とは

 ● キーワード
  ◯ SDGs(Sustainable Development Goals);持続可能な開発目標
  ◯ エシカル
  ◯ ヴィーガン
  ◯ スタンス思考

Z世代と「SDGs」の関わり

ソーシャルネイティブの冠を認められた新世代、Z世代
1996年以降に生まれ、生まれて間もないころから不況や環境破壊のレッドランプが灯る最中に育ち、他世代に比べ最も早くソーシャルメディアに馴染んでいる。加え、グレタ・トゥーンベリ氏のようなアクティビストが牽引する環境保全活動を目の当たりにし、SDGsへの意識が一際高い(*1)ことでも知られている。

話を進める前に、ここで一度SDGsについて触れておきたい。

SDGsとは、2015年の国連サミットで加盟国が下記17項目を達成し、地球全体が持続可能な社会を展開させられるよう制定した取り決めだ。
いずれも、政府・地方行政や企業、個々人の取り組みがなくてはならないものだが、個人の日々の生活で見れば案外関わりのあることが多い。

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例えば発展途上国の教育活動へ寄付している企業製品を購入し「4.質の高い教育」に寄与したり、再生可能資源開発に積極的に取り組んでいる企業のSNSアカウントをフォローし「12.つくる責任 使う責任」への理解を深めることもできる。はたまた、ESGs投資(*2)を行いSDGs全体への貢献を図ることもできる。

(*1)SDGsへの意識が一際高い:
興味深いことに、「Z世代がスキンケア化粧品を選ぶ際に最も重視すること」を調査した記事からは、さほどZ世代は環境保全や廃棄物量へ配慮するようなデータはみられず、必ずしも全てのZ世代があらゆる行動下でSDGsを最重要項目としているわけではないことがうかがえる。

(*2)ESG投資:
「環境;Environment」と「社会;Social」、「企業統治;Governance」の3つに関与した投資活動のこと。

「エシカル」とZ世代

”エシカル” は倫理を意味し、人として守るべき善、つまりは道徳を意味することだ。
エシカル消費」とは地域の活性化や雇用なども含む、人や社会・環境に配慮した消費行動を指していて、いわばSDGsを意識した消費だ。

こうした理解から、SDGsの文脈で語られるエシカルとは、環境保全・人類平等性の保持・働きがいのある社会など、17の指標で示される持続可能な社会創出のためのアクション全般と理解することができる。
Z世代はエシカルネイティブとも呼ばれており、消費のみならず企業での働き方やジェンダーへの理解、再生産業など、あらゆる点で(無意識的に)SDGs達成に向かえている世代といえる。

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動物倫理や健康向上の観点から評価を受けるヴィーガンについていえば、Veganuary(*1)への参加者が昨年の45.2%も増加しており関心の高まりが分かる。日本国内でもZ世代起業家が植物肉を用いた「ヴィーガン唐揚げ」を開発しており、また美容・化粧品市場でも植物由来の成分のみを扱うなど、オーガニックに徹した「ヴィーガン・ビューティ」(*2)と呼ばれる製品への関心が高まっている。

(*1)Veganuary:
「Vegan;ヴィーガン」 と 「January;暦の1月」を掛け合わせたチャレンジで、1月の1ヶ月間、ビーガンにチャレンジする施策のこと。

(*2)ヴィーガン・ビューティ:
動物性の成分を使用しないほか、動物実験を経ない「クルエルティ・フリー」であることも重要な観点。

ファッションにみる「エシカル」

“エシカル” の発露は「消費行動」領域のみならず、「食」領域ではヴィーガンというかたちで現れている。また、もとよりオーガニックといった呼び名で認知されていた「美容・化粧品」領域はヴィーガン・ビューティへ発展している。

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ヴィーガンはファッション領域だと動物の毛皮を用いないオーガニック・ファッションというかたちでエシカルに寄与しているが、
「ファッション」領域ではそのほかにも、ユースド・ファッション(*1)というかたちで再生可能な資源循環フロー構築が進められている。

(*1)ユースド・ファション:
いわば “中古服” としての展開。レンタルを含めたこうした再利用市場はREコマースとも呼ばれ近年注目を浴びている。

アーバンリサーチは京都紋付と協業し、汚れてしまった服を黒染めすることでもう一度利用してもらうプロジェクト「TO BLACKWEARを実施。リーバイスは古着の買取販売を行う「Levi’s® SecondHandを立ち上げ、古着を通して循環型消費や持続可能なファションの楽しみ方を体現している。

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また、インターネット登場前の1970、80年代のファッションであるコテージコアがいま一部のZ世代で人気を博しているといわれている。この忙しいコロナ禍をゆったりと落ち着いた姿で過ごすことができるのがポイントのようだが、何よりユーズドであることが重要なポイントのようだ。

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今年3月の「楽天ファッションウィーク」では、古着をリユースし古びた布切れなどの “Boro textiles” (ボロ・テキスタイル)をパッチとして使用したユニークなファッションが登場している。ボロ・テキスタイルが “日本のヴィンテージ生地” とさえ言われていることから、ファッション界でのこうした持続可能な姿勢は、エシカルを跳躍し芸術的価値が付与されてまでいるのがうかがえる。

「エシカル」が表象するZ世代のアイデンティティ

エシカルとZ世代の関わりや、「ファッション・食」領域にみるエシカルをここまで手繰ってきたが、先に結論を言えば、
エシカルがZ世代にもたらす本質的な価値とは、『SDGsを意識したエシカルな行動をさらに超えた先に、理想とする自分のアイデンティティを見出せることだと考える。

やや抽象的なため、以下①②③で簡潔に解説する。

①揶揄されることのなくなった「意識高い系」

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HUFFPOSTに掲載されたZ世代ライター林 慶 氏の記事を参考にしてみてみよう。

消費などのあらゆる日々の行動の中、エシカルを目指した「意識高い系」の選択を取ることが「イケてる」と捉えられる時代になり、揶揄されたりトレンドと言われることではなく、むしろ当たり前のことになっているのだという。

②「自然」なありのままの姿

今や「映える」という言葉を聞くことは少なくなり、むしろ、よりも自然に見えつつ本来よりも美しく飾る「なちゅ盛」に見られるような “ありのままの姿” に重点が移っている。
ここから、過剰に外からの視線を意識し「映え」を目指した自分よりも、”自然体の自分” に価値が置かれていることがわかる。

③「スタンス」を持つことの価値

電通若者研究部(電通ワカモン)の調査では、Z世代は行動で示される内面的なものの有無が “かっこいい” の基準になっていることがわかっている。

かっこいいとZ世代から多くの声が上がったのは、音楽バンド King Gnu 常田大希・女優 水原希子・お笑い芸人 EXIT 兼近大樹 だった。3名いずれにも共通している点は、政治的発言やサステナブルな消費の発信など、自身の “スタンス” を明言してる点にあったという。

結論|Z世代の根本にある「スタンス思考」

以上①②③を元にしZ世代とエシカルの関係性を考えると、

SDGsを意識したエシカルな「意識高い系」の生き方がスタンダードとなり(①)
かつそうした自身の姿が「自然体」であるべきだと考えられている(②)
そして、この①②を満たした上で自身のスタンスを明確に持ち自己発信できる姿こそに “かっこいい” と憧れを持つ(③)ことが考えらる。

つまりは、スタンスを示すことが、アイデンティティ確立に至るまでの過程であることがここまで明らかにされた。

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毎分毎秒、数々のプラットフォームを埋め尽くすコンテンツに対抗し自身の存在意義を確かめるため、デジタルソーシャルに爪痕を残すため、その手立てとしてあるのが『スタンス思考であり、デジタルネイティブのZ世代にはそれが色濃く備わっているのではないか。

…そんな風に一人のZ世代として考えている。

末筆

個性と世間体の両側面を配慮すると言われているZ世代。
一見すると真新しい価値観のもとアクションを起こすアクティビストのようにも見受けられるが、
反面、本記事でも取り上げたZ世代ライター林 慶 氏の記事には次のような声も。

イスラム思想研究者 飯山陽氏のTweet

『イキりすぎ』とのことだが、Z世代の私たちは上記の飯山氏の半生ほどの時間しか生きてはいない。
そして、飯山氏が『環境云々の流行前から食事の大半は自分で作り、マイボトルなんていう言葉がない時代から飲み物も作って持ち歩いて』いたという時と比べると、時代の流れも環境汚染の進行具合も人々の心の動きも、何もかもが変わっている。

この林氏の記事も、確かに他世代からすれば「なにをいまさら」と批判的に当てられるような内容であったことは否定できない。しかし、今の時代に迎合したアクションを率先して実践できている点を見れば、環境保全啓発にわずかでも寄与できる内容であったはずである。
いずれにせよ、私自身こうした批判とZ世代のアクションを今後とも追い続けていく所存だ。

Z世代についてのより詳細な情報を知りたい方は「Z世代エクスプロージョン」もご覧になっていただければ幸いだ。

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